#花とモリス No.32
「モリスカレンダー2024」各月の写真に登場する、モリスアイテムや花材からインスピレーションを受けたストーリーをお届けする「#花とモリス」。
8月は「ゴールデン・リリー」のデザインとインテリアについてお届けします。壁紙/ Golden Lily 210398
モリスの一番弟子として有名なジョン・ヘンリー・ダールの傑作「ゴールデン・リリー」。反り返る花びらや、ミツバチが蜜を求めにやってきそうな立派な雄しべが特長的なこのデザインは、イギリスの牧歌的な霞がかった夏の庭園が描かれています。渦巻くつるに絡まるアカンサスの葉、そして一面に広がる花々が咲き乱れています。
この作品はしばしばウィリアム・モリスのデザインと誤解されていますが、実際には、ダールがモリス商会のヘッドデザイナーだったときにデザインしたもの。「ゴールデン・リリー」は、モリスが亡くなった3年後の 1899 年に描かれました。Point ! イエローベースの壁紙には、華やかなゴールド色を差し色に。植物モチーフの額装と合わせて壁面をデコラティブに飾るのがおすすめです。
その後、さまざまなテクスチャーやカラーで作られてきたデザインですが、最も有名なのは1960 年代のイギリスのカウンターカルチャーでダークな色合いが流行したことです。ビートルズのメンバー、ジョージ・ハリスンやファッションデザイナーのオジー・クラークは、「ゴールデン・リリー」の生地で作られたジャケットを着用した姿が撮影されました。
ジャケットはロンドンのキングス・ロードにあるブティック「Granny Takes a Trip」がデザインしたもので、作られた数は非常に少なかったそうです。しかし、このデザインは人々の心に大きく刻まれ、その後さらに多くの生地や壁紙が生産され、1960 年代のノスタルジックなイメージと共に今日でも愛されています。©Sanderson Design Group
*過去のイギリスレポート「Fashion and Textile Museum」でも紹介しています。
あらゆる世代の新しいクリエイターたちにインスピレーションを与え続けている「ゴールデン・リリー」。さまざまなインテリア空間を美しく変えてきた壁紙を使用した海外の施工事例をご紹介します。(写真)壁紙/ Golden Lily 210398
(写真)壁紙/ Golden Lily 216818 / 210401
(写真:左)壁紙/ Golden Lily 210398
(写真:右)壁紙/ Golden Lily 216818 / 210401
モリスの美学と精神はダールへ、そして現代の MORRIS & Co. のデザイナーへ継承され、新たな命を吹き込まれ、いまの暮らしの中でも生き生きと輝き続けています。
■使用アイテム:壁紙/ Golden Lily 210398
■使用花材:ユリ、バラ、ヒマワリ
■フラワーアレンジメント:OEUVRE(ウヴル)