世界でもっとも美しい家「レッドハウス」
モリスと妻・ジェーンの新居として建てられた、「世界でもっとも美しい家」と呼ばれる「レッドハウス」。
イングリッシュヘリテージが著名人のかつての住まいなどに掲げているブルー・プラークが目印です。建築事務所の兄弟子であり友人でもあったフィリップ・ウェッブがモリスと共に建てたレッドハウス。モリスとジェーンは新婚生活に理想的な建築の実現を目指し、果樹園など豊かな自然が広がるベクスリーヒースを建築場所として選びました。
フィリップ・ウェッブ
ウェッブはモリスのこだわりである「精神性においてきわめて中性的な家」という理想を体現するため、左右非対称の斬新なL字型と急勾配の屋根、赤レンガ作りのまま、というゴシック的要素を含んだ家を完成させました。
レッドハウスの図面
モリスは「生活に必要なものこそ美しくあるべき」だと考え、家具や壁紙、タイル、ステンドグラス、ろうそく立てなど、調度品のひとつひとつをレッドハウスに合うようにデザイン。
セトル(長椅子キャビネット付)
伝統的なヴィクトリア朝の住宅に比べると家の中はいたってシンプルで素朴。
しかし、内装、家具はもちろん、窓などの建具までがオリジナル・デザインで、隅々にまで神経のいき届いた、モリスのこだわりが詰まった、凝った造りでした。
ステンドグラス
ロセッティやバーン・ジョーンズと彼らのふたりの妻も製作に携わっており、このとき積み重ねた経験を活かして設立されたのが、「モリス商会」の前身である「モリス・マーシャル・フォークナー商会」です。
レッドハウスは、モリス・マーシャル・フォークナー商会が、ステンドグラスや装飾家具、刺繍、タイル、壁紙などさまざまな室内装飾品を製作。クラフトマンシップの復活を目指したアーツ・アンド・クラフツ運動へとつながるきっかけとなりました。
Red House
Red House Lane, Bexleyheath, London, DA6 8JF