#花とモリス No.34
「モリスカレンダー2024」各月の写真に登場する、モリスアイテムや花材からインスピレーションを受けたストーリーをお届けする「#花とモリス」。
10月は「ピンパネル」のデザインについてお届けします。
1876年にウィリアム・モリスが壁紙としてデザインした「ピンパネル(ルリハコベ)」。見事なチューリップの花とらせん状の茎が対称的に描かれています。
この模様は、モリスが42歳の頃にデザインされました。最初は青と緑の3色で描かれていたそう。モリスの別荘「ケルムスコット・マナー」のダイニングルームに貼られていたことから、彼のお気に入りのひとつだったと推測できます。
ピンパネルに見られる大胆な線画は、東アジアの芸術の影響によるもの。1862年のロンドン万国博覧会では、中国と日本の磁器、陶磁器、象牙の彫刻、綿のタペストリーが展示され、大きな話題となり、イギリスでの日本文化への関心は高まりました。
モリスは、日本の着物で見られる辻が花技法の平らな花のモチーフからインスピレーションを得て、それがピンパネルのシンプルな線と色彩、ドラマチックな雰囲気に表れているのではないかと言われています。
モリスの娘、メイ・モリスが、ケルムスコット・マナーのダイニングルームに貼られた壁紙の前に「東洋の宝物」が飾られたと語っていることから、ピンパネルと東アジアの芸術とのつながりが伺えるのです。Point ! ダークブラウンの生地に、暖色系のピンクやオレンジ、赤を合わせてかわいらしい雰囲気に。落ち着いたトーンがカラフルな色合いを包み込みます。(生地/ Pimpernel 224492)
また注目すべきは、デザインの名前です。このデザインは主題であるチューリップの花の向こうに見える小さな花、ピンパネルから名づけられています。背が低く、控えめなイギリスの野の花で、ビクトリア朝時代の人々の生活にもなじみ深いものでした。
モリスの初期三大壁紙のひとつである「デイジー」をはじめ、彼のデザイン名には日常にある野の花が多く使われています。それは自然を愛し、完璧なリアリズムよりも職人の誠実さを好んだモリスの芸術的精神を雄弁に物語っています。写真上:MORRIS & FRIENDSコレクション
写真下:左 SIMPLY MORRISコレクション/右 BEDFORD PARKコレクション
「ピンパネル」はコレクションごとに異なるカラー展開を楽しむことができます。落ち着いたトーンからサイケデリックなカラーまで、あなたの今の気分はどの色ですか。
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■使用アイテム:生地/ Pimpernel 224492
■使用花材:ブルーアイス、ユーカリ、バラ、マム、月桃の実、野バラの実、エリンジューム
■フラワーアレンジメント:OEUVRE(ウヴル)