#花とモリス No.30
「モリスカレンダー2024」各月の写真に登場する、モリスアイテムや花材からインスピレーションを受けたストーリーをお届けする「#花とモリス」。
6月は「ランブリング・ローズ」のデザインとインテリアについてお届けします。
1877 年に誕生した「ローズ」(現在のコレクションではランブリング・ローズと呼ばれます)は、EMERY WALKER’S HOUSEコレクションにて数年ぶりに壁紙として加わりました。森の散歩道やコテージのガーデンに咲くイングリッシュローズが描かれています。エメリー・ウォーカー(1851‐1933)は、ウィリアム・モリスにとって、隣人であり友人、協力者、そして良き理解者でした。モリスの別荘「ケルムスコット・マナー」から近い場所に居を構え、ほぼ毎日お互いを行き来するほどの関係にあった二人。モリスはウォーカーの専門的な印刷知識を頼りに、ケルムスコット・プレスを設立しています。
エメリーの邸宅ハマースミス・テラスには、モリス商会の家具など多くのモリスデザインが使われており、アーツ・アンド・クラフツ運動の素晴らしき歴史を感じさせる場所のひとつです。テムズ川へ続く美しい庭園を持つこの邸宅と、二人のクリエイティブな関係に敬意を表したコレクションに、「ランブリング・ローズ」は欠かせませんでした。バラは、ウィリアム・モリスが創る壁紙には珍しいデザイン。タペストリーや誌の中に登場することが多いモチーフで、ロマンチストのモリスは大きく影響を受けたと言われています。見事なバラの花とトゲのある蔓(つる)がよじ登る構図は絵画のよう。壁紙は3つのカラーバリエーションで展開されていて、今回のアートワークに使用しているカラーは、“Twining Vine(絡みつく蔓)”という自然に近い色合いが魅力です。
華やかで楽しいバラの壁紙は、オリーブグリーンの塗装と合わせると、リビング空間を優しく包み込みます。アクセントウォールとして使うなら、暖炉やマントルピースなど部屋の中でも目を引きたい場所の近くで印象的に。木製の家具とも合わせやすく、アンティーク調の小物でクラシカルな雰囲気をプラスするのもおすすめです。
モリスの壁紙のある空間は、まるでかぐわしい花の香りがするイギリスの庭園の中を歩いているよう。視覚以上の感覚を研ぎ澄ませてくれるデザインと共に、彩り豊かな暮らしをはじめてみませんか。
■使用アイテム:壁紙/ Rambling Rose 217207
■使用花材:バラ、ケイトウ、カンガルーポー
■フラワーアレンジメント:OEUVRE(ウヴル)