Biography

ウィリアム・モリスの生涯

(1834~1896)

芸術家モリスの誕生

  • 18340
    誕生

    3月24日、富裕な家庭の長男としてロンドン郊外のウォルサムストウ、クレイ・ヒルの「エルム・ハウス」にて誕生

  • 18406
    エピングの森

    エセックスの「ウッドフォード・ホール」に転居。50エーカーの庭園と100エーカーの農園が広がり、少年モリスに大いなる影響を与えたエピングの森へと通じていた。

    「ウッドフォード・ホール」

  • 1843-18519-17
    中世好きの少年

    9歳 父とカンタベリー大聖堂を訪れ、中世好きが更に高まる。
    13歳 父ウィリアムが50歳で死去
    14歳 2月 14歳の誕生日を前にモールバラ・カレッジに入学
    「ウォーター・ハウス(現モリス・ギャラリー)」に転居
    17歳 11月モールバラ・カレッジにて学内騒動が起こり自主退学。
  • 1852-185518-21
    オックスフォードでの出会い

    聖職者を志し、オックスフォード大学エクセターカレッジへ入学。エドワード・バーン=ジョーンズと出会う。
    21歳 ジョン・ラスキンの影響を受け、バーン=ジョーンズと北フランス旅行中に、共に芸術家になる事を決意。大学卒業後1856年1月、オックスフォードの建築家ストリートに弟子入り。この建築事務所で弟子頭をしていたフィリップ・ウェッブと出会う。

  • 1857-185923-25
    運命の女性との出会い

    23歳 ロセッティの企画した「オックスフォード大学学生会館討論室のフレスコ画」製作に参加。この時、ロセッティがモデルとして連れていた16歳のジェーン・バーデンと出会う。ジェーンをモデルにした「麗しのイゾルデ」(油絵)を描く。
    25歳 周囲の反対を押し切ってジェーン・バーデンと結婚。

    「麗しのイゾルデ」

    モリス25歳頃

  • 186026
    世界でもっとも美しい家

    6月、モリスの友人フィリップ・ウェップ建築による新婚の家「レッド・ハウス」完成。

    「レッドハウス」

  • 1861-186227-28
    MMF商会設立

    27歳 1月、長女ジェニイ誕生。
    2月、「レッドハウス」の内装経験を基に、モリス・マーシャル・フォクナー商会設立。
    28歳 3月、次女メイ誕生。
    ロンドン万国博覧会でモリスのデザインした 『デイジー』 の刺繍の壁掛けが金賞を受賞。

  • 1864-186730-33
    デザイナー モリス始動

    30歳 レッドハウスのバラの生垣からインスパイアされた最初の壁紙「トレリス」をデザイン。壁紙「デイジー」「フルーツ」 をデザイン。

    「トレリス」

    31歳 商会がうまくいかずレッドハウスを売却。
    33歳 サウス・ケンジントン美術館(現V&A美術館)の「グリーン・ダイニングルーム」の装飾を手がける。

    「グリーン・ダイニングルーム」

  • 1868-187034-36
    詩人として不動の地位

    物語詩「地上の楽園」第一巻出版。
    「地上の楽園」最終巻により、モリスの詩人としての評価が不動のものとなる。この頃からサウス・ケンジントン美術館のテキスタイルの購入の助言をするようになる。

モリスの多彩な活動

  • 1871-187737-43
    インスピレーションの源 ケルムスコット・マナー

    37歳 モリス生涯の別荘となるケルムスコット・マナーをロセッティと共同で借りる。「スクロール」 「ブランチ」をデザイン。
    40歳 壁紙「ヴァイン」 「アカンサス」などをデザイン。

    「アカンサス」

    41歳 3月、モリス単独経営のモリス商会設立。
    「マリーゴールド」「ラークスパー」をデザイン。
    42歳 「ハニーサックル」「アイリス」「ピンパネル」「クラウン・インペリアル」などを生産。
    43歳 「クリサンティマム」デザイン。
    リヨンから織工を招き、ジャガード織り機の使い方を習う。
    ファブリック「フルーツ」などを生産。
    3月22日「古建造物保護協会」を設立。
  • 1878-188044-46
    ロンドンの終の棲家 ケルムスコット・ハウス

    44歳 秋、ハマースミスの近くのケルムスコット・ハウスへ転居。
    ケルムスコットマナーにちなんでケルムスコットハウスと命名。
    寝室に織機を置き、タペストリーを織り始める。
    この頃作られたラグにはハンマーと川のマークが織り込まれている。
    ファブリック「ピーコック&ドラゴン」をデザイン。
    10代のジョン・ヘンリー・ダールを、モリス商会のオックスフォード通り店舗のアシスタントとして雇う。

    タペストリーの試作品

    「ケルムスコットハウス」

    46歳 ロンドンのセント・ジェイムズ宮殿の一大改装プロジェクトの装飾用に壁紙をデザイン。
  • 1881-188347-49
    テキスタイルの総合工房マートン・アビー

    47歳 6月、ウォンドル川沿いのマートン・アビーに総合的な工房を設立、集中的にテキスタイルの傑作が生まれていく。
    ジョン・ヘンリー・ダール、マートン・アビー工房のタペストリー織りの責任者となる。
    48歳 ロセッティ(享年54歳)死去。ファブリック「ブレアラビット(兄弟うさぎ)」「バード&アネモネ」「ローズ&ティッスル」製作。

    「ブレアラビット(兄弟うさぎ)」

    49歳 ファブリック「ケネット」をデザイン。
    人気柄「いちご泥棒」商品登録。ファブリック「ロウデン」生産。
  • 1884-188950-55
    社会運動

    50歳 社会民主連盟の機関誌「ジャスティス」創刊。
    執筆と資金援助を行い、自ら街頭でこれを販売。
    ファブリック「クレイ」デザイン。
    51歳 社会主義同盟を結成、モリスを編集長として同盟の機関誌「コモンウィール」を発行。
    次女メイ・モリス、商会の刺繍部門の監督となる。
    壁紙「ガーデン・チューリップ」をデザイン。
    53歳 ヴィクトリア女王、バ―モラル城のための壁紙を依頼。
    壁紙「ウイローボウ」デザイン。
    タペストリー「ザ・フォレスト」製作(現在V&A所蔵)。
    ジョン・ヘンリー・ダール最初の壁紙「アイリス」を制作。
    54歳 壁紙「オータム・フラワー」デザイン。
    55歳 「ユートピア便り」を執筆。
  • 1890-189556-60
    印刷業と活字のデザイン

    56歳 ケルムスコット・プレス設立準備、活字のデザインに熱中。
    11月、社会主義同盟を脱退し、ハマースミス社会主義協会を結成。
    57歳 1月、私家版印刷所ケルムスコット・プレスが発足。
    印刷された最初の七冊の本は、モリスの最初のデザイン活字「ゴールデン」が使われた。
    次女メイ・モリスらがケルムスコット・マナーのモリスのベッド・カーテンを刺繍。
    58歳 11月刊行の「トロイ物語集」に、二番目にデザインした「トロイ活字」と三番目の「チョーサー活字」が使われる。

    「チョーサー活字」

    60歳 妻ジェーン・モリスが、ケルムスコット・マナーのモリスのベッドカバーを刺繍。
  • 189662
    モリスの最期

    1月 健康悪化をおして、公共広告濫用審査協会の設立を支持する演説を行う。
    モリス最後の講演となる。

    6月2日 生涯最後の大仕事、ケルムスコット・プレス刊本中の最高傑作「ジェフリー・チョーサー著作集」が完成。
    10月3日 ケルムスコット・ハウスにて死去。
    「死因は、彼がウィリアム・モリスだったから。一人で十人分以上の仕事をこなしてきたモリスだったからです」
    10月6日 ケルムスコット・マナーの小さな教会(聖ジョージ教会)の墓地に埋葬される。フィリップ・ウェッブによるシンプルな墓石が建てられ、今は妻ジェーンと二人の娘とともに眠る。

    モリスのお墓

受け継がれていくデザインと思想

  • 1898-1917
    モリスの死後

    一番弟子のジョン・ヘンリー・ダールが後継者としてデザイン部門を率いマートン・アビー工房のスタジオを運営。

    1898 ジョン・ヘンリー・ダールが壁紙「アーティチョーク」をデザイン。
    エドワード・バーン=ジョーンズ卿、死去。
    1899 ジョン・ヘンリー・ダールが壁紙「ゴールデン・リリー」をデザイン。

    壁紙「ゴールデン・リリー」

    1904 ジョン・ヘンリー・ダールが壁紙「メドウ・スイート」をデザイン。
    1905 モリス商会は売却され「モリス商会デコレーターズ社」として登記される。
    1911 ジョージ5世とメアリー王女のための調度品や戴冠式の際の玉座の制作の依頼を受ける。
    会社に初の王室御用達章(ロイヤルワラント)が授けられた。
    1914 妻ジェーンが亡くなる直前に「ケルムスコット・マナー」を買い取る。
    次女メイは晩年の棲家とした。
    1917 第一次世界大戦中、マートン・アビー工房の大部分が閉鎖を余儀なくされ、ロンドンの店舗もオックスフォード通りからハノーヴァー・スクエアに移転。飾り立てないインテリアが主流になる。
  • 1925-1960
    サンダーソン社との関わり

    1925 会社は再度組織変更され、新たに「モリス商会アートワーカーズ社」の名で登記される。
    1926 モリス商会最後の壁紙「Bird & Pomegranate(鳥とザクロ)」を発表。ジェフリー商会が、サンダーソン社と同じ傘下の株式共同事業体に買収される。
    1927 ジェフリー商会の壁紙流通販売のすべてが、サンダーソン社に譲渡され、製造記録、プリント用木版やローラー型などがサンダーソン社の製造工場に移転。
    1932 商会に通算45年間勤めたジョン・ヘンリー・ダールの死去により、芸術的な戦力はすべて失われる。
    1940 会社は競争の激しい市場で生き残れなくなり、ついに任意清算に至る。
    サンダーソン社によるモリス商会の事業買収が進められる。
    1945 5月、ロンドンで英国の壁紙協会の展示会が開催。サンダーソン社は「アカンサス」などを掲載したカタログを出展。
    1950~ サンダーソン社の機械印刷壁紙の見本帳に、モリスの5柄が収録される。
    1960 サンダーソン社の100周年を記念し、当時流行のサイケデリックな色彩でモリスの柄を収録したブロックプリント壁紙見本帳を発表。

    サイケデリックな壁紙

  • 1960-1979
    生まれ変わったモリス商会のファブリック

    1960~ モリス商会既存の壁紙とコーディネートしたプリント生地コレクションを発表。「ウイローボウ」「ブラザーラビット」「ヴァイン」「マリーゴールド」「クリサンティマム」「ゴールデンリリー」など。モリスの子孫からも称賛され、ブランドを再構築するための戦略的な礎石となり、サンダーソン社は、新世代のモリスのファブリックの担い手として認められた。
    1970~ ブロックプリント壁紙の売上は低迷したが、ファブリックは1975年に発表された2つ目のコレクションをきっかけに、英国の家具業界で広範囲に販売され、サンダーソン社の最も収益の高いコレクションとなる。一番人気の「ゴールデンリリー」は最盛期に1ヶ月に5,000メートルを超える販売量があった。
  • 1980-2003
    モリス商会ブランドの再登場

    1982 サンダーソン社のデザインスタジオの強化のため、マイケル・パリー氏がデザイン・ディレクターに就任。専用のアーカイブ(資料保管室)が設置され、デザイナーやマーケティングチームの発想の源となっていく。モリス商会を買収して以来初となるMORRIS&Co.ブランドでのブロックプリント壁紙コレクションを発表。並行して手頃な価格の機械印刷の壁紙を登場させた。
    1984 MORRIS&Co.の柄を機械印刷した壁紙と生地の初のコーディネートコレクションを発表。
    1990 「ウイローボウ」の印刷壁紙が登場。この柄は、モリス当時から現在まで一度も製造が途絶えたことがない。

    「ウイローボウ」

    2003 ウォーカー・グリーンバンク社がMORRIS&Co.と共にサンダーソン社を買収。
    サンダーソンとMORRIS&Co.の両ブランドすべての製造工程を自社工場に移す。
  • 2011-2015
    150周年を迎えたMORRIS & Co.

    2011 モリス・マーシャル・フォークナー商会の創設150周年を記念して、タペストリー、ベルベット、刺繍品、壁紙、そしてプリントファブリックなどの、美しくインスピレーションに満ちたコレクション「ARCHIVE」を発表。
    待ち望まれたプリントファブリック「イチゴドロボウ」が復刻。モリス・スタジオのデザイナー/アリソン・ギーによる「ケルムスコット・ツリー」が新たにデザインされ、大ヒットする。
    モリスの中世のタペストリーからインスパイアされた「オーチャード」も新たにデザインされた

    「イチゴドロボウ」

    2013 「ARCHIVE II」コレクションを発表。
    初めてデジタル・プリントを採用した商品を開発。
    2015 「ARCHIVE III」コレクションを発表。
    タイル・デザインを取り入れたシンプルな商品も収録。
  • 2016-
    PURE MORRIS 誕生

    2016 新コンセプトによるコンテンポラリーライン「PURE MORRIS(ピュア・モリス)」を発表。
    モリスのデザインの原点と本質に立ち返り、伝統的な匠の技と最先端の技術を見事に融合し生み出されたファブリックと壁紙の数々は、世界中から高い評価を得て、新たなモリスファンを獲得。

    「Pure Strawberry Thief」

    2018 PURE MORRIS(ピュア・モリス)ブランドの第二弾、「PURE MORRIS NORTH AND INDRED」発表。
    モリスのアイスランド旅日記(1871)よりインスピレーションを受け完成した「PURE MORRIS NORTH FABRICS」(織り、刺繍、プリント生地)、「PURE MORRIS NORTH WALLPAPERS」(壁紙)、「PURE MORRIS KINDRED WEAVES」(椅子張り生地)から構成され、好評を博す。
    受け継がれてきたモリスの魅力とデザインのすばらしさを伝えるウェブサイト「MORRISWORLD.jp」が誕生。
    2019 「MORRISWORLD.jp」に『#花とモリス』追加。美しい暮らしを実現するコラボレーション企画を提案。