Column no. 18

Daisy
デイジー


5月の柄は、モリス初期三大壁紙のひとつ、Daisyです。

5月の柄は、モリス初期三大壁紙のひとつ、Daisyです。

自然を様式化した壁紙の誕生

生涯で46の壁紙を単独でデザインしたウィリアム・モリスですが、中でも「Trellis」、「Fruit」、「Daisy」の3つのデザインは1861年のモリス商会設立から1年の間に仕上げた初期三大壁紙として知られています。当初これらの壁紙を自分で刷ろうと思っていたというモリスは、木版ではなくエッチングした亜鉛版を、また水性顔料ではなく透明絵具を使用して壁紙印刷を試みていたそう。
残念ながらその実験に失敗してしまったモリスは、1864年にこれらのデザインをメッドフォード・ワーナーが経営するイズリントンのジェフリー商会に委託。実際の製造を託すことにはなりましたが、それでもモリスは製造過程にも深く関わり、色の選別や印刷の監督をしたと言われています。

身近な植物を惜しみなくデザインへ

「Daisy=ヒナギク」のモチーフは、1860年にモリスが新婚の家として建てた「レッド・ハウス」に掛けるタペストリーのため、モリスが手掛けたデザインをモリスの妻ジェーンらがウール糸で刺繍を施したのが最初です。もともとはフランス文人、ジャン・フロワサールによる「年代記」に登場する、1393年1月にパリで開催されたという仮面舞踏会の様子を描いた挿絵「Dance of the Wodehouses」からインスピレーションを受けたというこの可愛らしいデザイン。現在は大英図書館所蔵されているこの中世の彩飾写本の挿絵の後方の壁に、そのデザインの原型を見ることができます。

「Daisy」というデザインに昇華するにあたり、花のモチーフを様式化したモリス。正面を向いたヒナギクやラナンキュラスの小さな束草が散在するこのデザインと、計算しつくされた配置にモリスが細部までレイアウトまでこだわっていたことを伺えます。この「Daisy」のデザインは、その後1860年~70年代にかけてモリス商会が手掛けたタイルやステンドグラスなど、さまざまなところで見られることになります。モリスが多く手掛けた植物の成長をのびのびと描いたデザイン、そしてあたかも家の中に持ち込まれたような庭の趣を感じられるのが「Daisy」の魅力です。

デザインを身近に、花を暮らしに

Daisy」のテーブルクロスの上に広げたのは、今買ってきたかのような花のブーケ。生地に描かれたヒナギク自体はそれほど茎の長い植物ではないため、今回は茎の長いチューリップやアストロメリアをセレクト。花は違えど春らしさいっぱいのアレンジです。花を花瓶にいけ、それをテーブルに飾るだけで見慣れたリビングやダイニングの印象が春仕様に様変わり。出回る花の種類が豊富な春の季節、モリスのデザインとともに花を暮らしにぜひ取り入れてみてください。

生地: Daisy、使用花材: チューリップ、アルストロメリア
フラワーアレンジメント: OEUVRE(ウヴル)


(Text by MORRISWORLD.jp staff)

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