Column no. 10

モリスの愛され柄

3月、7月、9月と開催したスペシャルプレゼント企画。
最後は11月8日の更新予定ですが、その前に過去3回のプレゼント応募時にお聞きした
「好きなモリスの柄」のアンケート結果を大公開。
第一位に輝いたのは、誰もが納得のあの柄です。
3月、7月、9月と開催したスペシャルプレゼント企画。
最後は11月8日の更新予定ですが、その前に過去3回のプレゼント応募時にお聞きした
「好きなモリスの柄」のアンケート結果を大公開。
第一位に輝いたのは、誰もが納得のあの柄です。

第1位:Strawberry Thief(イチゴドロボウ)
1883 by William Morris

断トツの人気を証明した「イチゴドロボウ」。
モリスが夏の別荘‟ケルムスコット・マナー”の家庭菜園でイチゴを育てていたところ、食いしん坊の鳥たちにそれを盗られてしまった様子が描いた柄です。デザインに登場する愛らしい鳥はツグミですが、モリスの手記によれば実際にイチゴをついばんだのは異なる種類の鳥だったそう。園芸家たちが大切に育てているものを鳥に食べられてしまう、という日常の暮らしの中にある小さな悩みを温かな目線で描いたこのデザインは、最も愛されているモリスの代表作のひとつ。合わせ鏡のような左右対称のパターン構成が特徴です。
オリジナルはマートン・アビー工房において最初に作られた多色使いのインディゴ抜染プリント生地で、その雰囲気をそのままに残すプリント生地のほか、『PURE MORRIS』からはナチュラルモダンなモノクロバージョンのプリント生地も登場。またリネン地に異なる二種のコットン糸で細かな刺繍を施した刺繍生地は、ニュートラルカラーのみで柄を立体的に表現することで新たなイチゴドロボウの魅力を引き出すことに成功しています。

第2位:Willow Bough(ウイローボウ)
1887 by William Morris

もともとは壁紙としてデザインされた「ウイローボウ」。壁紙の発表から8年後の1895年に生地が制作されています。モリス自身が気に入っていたテムズ川の岸に茂る柳の木々を、見事なまでに文様へと高めたモリスの最高傑作とも言えるデザインです。このデザインが生まれたときのエピソードを娘のメイは1936年にこう書き残しています。”We were walking one day by our little stream that runs into the Thames,and my father pointed out the detail and variety in the leaf forms, and soon afterwards this paper was done, a keenly-observed rendering of our willows that has embowered many a London living-room.[テムズ川にそそぐ支流の小川に沿って散歩していたときのことです。父は葉の形のディテールやその多様性に着目していました。程なくして(Willow Bough という)壁紙が完成し、くまなく観察された柳の木がロンドンの多くのリビングルームを飾ることになったのです。]

第3位:Daisy(デイジー)
1884 by William Morris

モリスの初期三大壁紙のひとつ、「デイジー」。最初の壁紙Trellis(トレリス)に続いてデザインされたもので、ヒナギクとラナンキュラスの小さな束草が描かれています。壁紙の制作には伝統的な木版画が使用され、これはアーツ・アンド・クラフツの精神のもと手作業で作られた壁紙の証でもあります。
「デイジー」のデザインに描かれたヒナギクの絵柄は、大英図書館所蔵の『フロワサール年代記』という中世の彩飾写本の挿絵からモリスが研究したと考えられています。素朴で柔らかなタッチで描かれたヒナギクのデザインは当時も人気で、「デイジー」だけでなくモリス商会のタイルやステンドグラス、刺繍にも使われました。
また2013 年にMORRIS&Co. から発売された『MORRIS ARCHIVE II』コレクションでは、インディゴを思わせるような青一色の壁紙が登場。クラシカルな雰囲気そのままに、新たな顔を見せてくれました。壁紙だけではなくコットンにプリントされた生地も人気です。

今も、これからも愛される柄

誕生から180 余年。手仕事から生まれる、自然に根ざした美しさを発表し続けたモリス。
彼のデザインした樹木や草花をモチーフとした壁紙や生地は今もなお新鮮な魅力に満ち溢れ、時を超える美しさをこれからも届け続けてくれることでしょう。


(Text by MORRISWORLD.jp staff)

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