Column no. 05

ウィリアム・モリスと
英国の壁紙展


2018年7月の群馬県立近代美術館での開催を皮切りに、大阪、久留米、名古屋と全国を巡回している
「ウィリアム・モリスと英国の壁紙展 ―美しい生活をもとめて」。
サンダーソン社が所蔵する貴重な壁紙や版木など、日本初公開の約130点が紹介されるこの展覧会は
4月20日より横浜のそごう美術館にて開催中。
会場に設置された「クラシック・モリス」と「ピュア・モリス」、それぞれのルームセットから
今もなお色褪せないモリスのデザインに迫ります。

2018年7月の群馬県立近代美術館での開催を皮切りに、大阪、久留米、名古屋と全国を巡回している「ウィリアム・モリスと英国の壁紙展 ―美しい生活をもとめて」。
サンダーソン社が所蔵する貴重な壁紙や版木など、日本初公開の約130点が紹介されるこの展覧会は4月20日より横浜のそごう美術館にて開催中。
会場に設置された「クラシック・モリス」と「ピュア・モリス」、それぞれのルームセットから今もなお色褪せないモリスのデザインに迫ります。

CLASSIC MORRIS(クラシック・モリス)

部屋に何を置くにしても、まず壁をどうするか考えよ。
壁こそが家を本当の住まいにするからだ。
何を犠牲にしても壁を優先させなければ、
いかに高価で見栄えのする家具を置いても、
その部屋は間に合わせの下宿屋のようになってしまう。

ーウィリアム・モリス

モリスが目指した暮らしとは

モリスが心に描いた「美しい生活」とは、どのような暮らしだったのでしょう。「美しいと思わないものを家の中に置いてはならない」と語り、手仕事からうまれる自然に根差した美しさをモリスは説いています。自然との共生、手仕事の温もり、そして簡素でも居心地の良い部屋。モリスが目指した暮らしを再現したのがこのクラシック・モリスのルームセットです。
壁紙に選んだのは「Chrysanthemum Toile」。1886年に製作されたウィリアム・モリスの壁紙がオリジナルです。当時の壁紙は箔張り、漆塗り、エンボス加工をほどこした後にオイルカラーで型刷りし、金唐革や金唐紙を模倣して製作されていたものでした。一方でこのルームセットに貼った壁紙はサーフラックスプリントを使用し、新鮮な色使いで現代のインテリアにも合うように作られています。これに、今回の展覧会でのキーデザインである「Pimpernel」の生地をカーテンに仕立て、英国のアンティーク家具をコーディネート。当時の雰囲気をそのままに、それでいて現代の空間でももちろん素敵な時間を過ごすことのできるインテリアシーンを作り上げました。

細部まで凝ったシーン設定

当時のインテリア空間の床は、家具と同じように大事にメンテナンスをされていたであろう無垢材のフローリングが主流。ルームセット・ブース内に、それを再現するべくフローリング風のタイルカーペットを張り込みました。‟本物”に見えるよう、向きを互い違いに張るのがポイントです。
またビューローブックケースには、その時代の暮らしを感じてもらえるようアンティークの銀食器や本を並べました。実際の展示ではブックケースの中までご覧いただくことは難しいのですが、モリスが望んだインテリアのシーンを細部まで再現することにこだわっています。
なお、そごう美術館では会期中毎週土曜日にピアノ・コンサートが開催されます。今回用意されたピアノはモリスが生きていた19世紀に作られたイギリスの銘器、ブロードウッドのスクエア・ピアノ。その音色からも当時の雰囲気を感じていただけます。


Pure Morris(ピュア・モリス)

役に立つかわからないもの、あるいは美しいと思えないものを、家の中に置いてはならない。
さまざまな形で、夢を具体的なものにするのが、私の仕事だ。

ーウィリアム・モリス

もし、ウィリアム・モリスが生きていたら

モリスがこの世を去ってから約120年が経ちましたが、そのデザインは今もなお世界中で愛されています。もし今、モリスが生きていたら彼はどんなデザインを発表してくれるのでしょう。モリスの生活哲学である‟シンプル・オブ・ライフ”に立ち返り、洗練されたシンプルな暮らしと自然界に宿るピュアな美しさへの尊敬を新たに表現したピュア・モリスコレクションから、現代の住空間に似合うモノトーンの世界を演出しました。
クラシック・モリスとは印象をがらりと変え、新たなモリスの魅力を感じられるルームセットです。

非現実のようで現実的な空間

ピュア・モリスの空間でまず目を引くのが本物の白樺を使用してつくられたハンガースタンド。白樺は、2018年に発売されたピュア・モリスの第二弾「NORTH」と「KINDRED」コレクションのデザイン・インスピレーションの源となったアイスランドにも茂る樹木です。
その白樺のハンガースタンドにたっぷりと生地を掛ければ、まるでテントのよう。その前にデイベッドを置いたら、アイスランドの森の中に突如現れたインテリア空間にも見えてきませんか?
実際森の中にインテリア空間が存在することはないけれど、そんなこともあるかもしれない、と思わせてくれるこのルームセット。生地や壁紙のオリジナルのデザイン自体はモリスが手掛けた100年以上も前のものですが、それが現代の家具やトレンドのシンプル&ヴィンテージライクなインテリアにも合うというのは驚き。モリスのデザインの底力を感じざるを得ません。


英国壁紙デザインの変遷をたどる展覧会

開催中の壁紙展ではウィリアム・モリス以前につくられた壁紙から始まり、英国の中でモリスのデザインがどのような役割を果たし、そしてどのように受け継がれていったかを見ることができます。ルームセットからも見て取ることができるように、居心地の良い快適な空間演出に壁紙はなくてはならないもの。ついついインテリア空間を想像したときに家具から考えがちですが、壁紙やカーテンからインテリアを考える良い機会になりそうな展覧会です。

サンダーソンアーカイブ『ウィリアム・モリスと英国の壁紙展』‐ 美しい生活を求めて

会場: そごう美術館
会期: 2019年4月20日(土) ~ 6月2日(日)会期中無休
開館時間: 午前10時~午後8時
※入館は閉館の30分前まで
※4月26日[金]~5月5日[日・祝]は午前10時~午後8時30分(入館は閉館の30分前まで)
※閉館時間は変更になる場合があります。

(Text by MORRISWORLD.jp staff)

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