Column no. 01

Michael Parry

サイトオープンに際しコメントを寄せてくれたマイケル・パリー氏にモリスについて質問をしてみました。
パリ―氏は現在、MORRIS&Co.をはじめSandesonやHARLEQUINなど多数のブランドを抱える
イギリスのStyle Libraryグループのブランドアンバサダーを務めています。


MORRIS WORLD(以下M)
この度オープンの「MORRIS WORLD.jp」ではモリスの魅力を日本中に広め、モリスファンを増やしたいと思っています。モリスをもっと知ってもらうべく、今日はいくつかの質問にお付き合いください。
まず最初の質問です。モリスデザインの強みは何だと思いますか?またモリスのデザインが今もなお愛されるいちばんの理由は何だと思いますか?
Parry(以下P)
モリスのデザインの強みということであれば、独創的なデザインということに尽きるのだと思います。だからこそ好き嫌いが分かれやすいのかもしれませんが、それは私も理解しているところです。彼のデザインは力強いフォルムのものが多い。だから初めて彼がデザインした壁紙も当時の世間は受け入れてくれなかった。「何だ、このひどいデザインは!」なんて言われたほどです。というのも、その頃の壁紙は草花を描くような自然主義的なものを唱えるものはなかったんですよね。
ところがモリスのデザインは違った。様式化された、全くもって違うものだったから、当時からすればモリスのデザインは“流行から外れたもの” だったんです。でもその後、彼のデザインは評価され、いつの時代も“受け入れられる” ものになったわけです。
ちなみに唯一モリスのデザインで欠点があるとすれば、それは色だと思っています。彼のデザインはたくさんの色を使うものが多いのですが、その色使いが今のトレンドと合っているか、と聞かれたらイエスと答えられない。それゆえ我々はもしモリスがこの21 世紀に生きていたらこんな色使いをするだろう、ということを念頭に色展開を考えています。それを象徴するのがPURE MORRIS なんです。従来のクラシックモリス(MORRIS&Co.)とPURE MORRISの違いは、分かりやすく言えば好んでくれる人が違います。根拠のあるもの、正統派のものが好きな人は従来のMORRIS&Co.を、そして年齢も若く流行を追う人がPURE MORRISを、というようにね。だからPURE MORRISのおかげで新しいモリスファンを獲得できたのは大きいし、クラシックモリスは苦手だけれどPURE MORRISは好き、なんて言ってくれる人がいるのも事実です。
M
なるほど。色を今のトレンドに合わせていることや、PURE MORRISの登場もこれからもずっとモリスのデザインが愛されていく理由になりますね。
クラシックラインのMORRIS&Co. とPURE MORRIS、このふたつも上手く住み分けできていますし。
P
はい。

M
そのPURE MORRISですが、今回の新作「NORTH & KINDRED」コレクションの発表は前回のPURE MORRISコレクションの日本での成功が関係していると聞いています。これは本当ですか?
P
本当です。
M
それはどういうことでしょう?
P
初のPURE MORRISコレクションを発売したとき、MANAS 主催で紹介プレゼンテーションをさせてもらいました。そのときの発売記念イベントの手応えからPURE MORRISの第二弾の構想を描けたんです。また別の見方で創りたい、そのための何かを探さなければ、というふうに。そしてモリスがアイスランドを旅したときの日記に書かれたアイスランドで見た色の記述に辿り着いたわけです。グレー系の色や絶妙な色のトーンの描写がPURE MORRISにぴったりだった。ニュートラルであるし、決して目立つ色ではないのだけれど、奥行きのある色で表現できたコレクションです。
M
ところでパリーさんが個人的に好きなモリスのデザインは何ですか?
P
いちばん!?それはすごく難しい質問だけれど・・・ひとつだけ挙げるとしたら、” Sunflower” かな。
M
その理由を教えてください。
P
シンプルだから、というのが理由かな。単色で描かれたデザインはとても精巧的で、実際のスケール感はそれほど大きくないのに大きくダイナミックに見えてくる。特に単色でデザインを描くということに関して、その後のさまざまなデザインスタイルに影響を与えたと思っています。
M
またこれも難しい質問かもしれません。そのモリスにもし会えたら、何と声をかけたいですか?
P
会えたら・・・。そうですね、会えたら3つの質問をしてみたいかな。ひとつは彼の奥さんがロセッティと関係を結んでしまったときはやっぱり怒ったのかどうか。ふたつ目は彼の末娘のメイを誇りに思っているかどうか。きっとそうなのだろうとは思うのだけれどね。最後はPURE MORRISについて。私が手掛けたPURE MORRISを見て嬉しく思ってくれているかどうか?これでOKだよね?と確認したい。
M
もちろんOK!と答えてくれると思いますよ。さて、モリスが好きな日本のユーザーにぜひ一言お願いします。
P
日本とモリスはすごくいい関係にあると思っています。日本にはモリスファンも多いですし。元々ウィリアム・モリスは美術史の中で日本では紹介されてきたのかもしれませんが、今や幅広く受け入れていただいていると感謝しています。ちなみにモリスの売上で言うと、1位はイギリスで2位が日本、そして3位がスウェーデン。スウェーデンの人たちはとてもスタイリッシュに使ってくれています。
M
そうですね。昨年スウェーデンを訪れたときに、インテリアショップでもモリスの壁紙や生地がたくさん並んでいてびっくりしました。最近活躍するデザイナーにもモリスに影響を受けた人がたくさんいると聞きます。
P
モリスデザインの日本での人気も本当にありがたい。形式化されたデザインっていうのが、日本のスタイルにうまくフィットしているのだと思っています。
M
最後に。これはモリスとは関係ないのですが、パリーさんのお気に入りの部屋はどこでしょう?ご自宅でも他の場所でも構わないのですが。
P
好きな部屋!?どこだろう・・・。今住んでいるところにはふたつ納屋があります。古いけれどコンテンポラリーな造りの。そのうちのひとつの部屋では音楽を聴いて過ごしたり、と本当に自分のためだけに時間を使えるから「自分だけのわがまま部屋」という感じのこの部屋がお気に入りの場所かな。
M
今日はありがとうございました。いろいろとモリスにまつわるお話を聞くことができ、有意義な時間になりました!
2018年7月7日から8月26日まで開催の群馬県立近代美術館にて開催の「ウィリアム・モリスと英国の壁紙展」のため来日したパリ―氏に今回はインタビューの機会をいただきました。

GUEST:
Michael Parry (マイケル・パリー)
モリス商会のブランドを継承する英国Sanderson社の前最高責任者。現在はブランドアンバサダー、アーカイブの監修者としてモリスのデザインの魅力を世界へ伝える活動を精力的に行う。
写真左はStyle Libraryの現最高責任者ジョン・サッシュ氏。